長野県上高井郡高山村で、10年以上無農薬・EM栽培で稲作を行ってきた園原久仁彦さん。初めてお会いした率直な感想は、「パワフルだなあ…」。20代の私が圧倒されるほどのエネルギーを持ち、大好きな米作りと、EMを熱く語る園原さん。「いつも体調絶好調だから病院に行っても、『特に異常はないです』って医者から残念そうに言われるんだよ」と笑って仰っていました。



 園原さんは30歳で脱サラし、地元の長野県でペンションの経営をしていました。その際に食の大切さに気づかされ、さらに60歳を前に稲作農家に転身。そして、“安心安全な米づくり”をしたい!と模索していた時に出会ったのが“冬期湛水不耕起移植栽培(岩澤農法)”でした。土を掘り起こさず、冬期に田んぼに水を張ることで雑草を抑え、糸ミミズなどの生き物が増えるように自然環境の改善を図る農法です。そして“安心安全な米づくり”のコンセプトを忘れず、EMぼかしなどを活用し、除草剤・農薬・化学肥料を使わない農法を続けてきました。「全ての食材を無農薬で作るのは難しいから、せめて日本人の主食の米は安心安全なものを」。それが園原さんの強い想いです。

 ある日、30年来アトピーで苦しんでいた息子さんが、「親父、今年はアトピーがでないよ」と言いました。園原さんの田んぼの米が息子さんのアトピーを治したのです。息子さんは、園原さんの作った米だけを何年も食べ続けていました。米以外の食べ物を、特に気をつけて改善したというわけではなかった、だから米を変えたこと以外に治った理由が考えられない。「これは革命だ!」と園原さんは思いました。その話を聞いた私も、「革命だ!」と素直に驚いてしまいました。(笑)

園原さんが気づいたことは、農薬など何も使わない田んぼのお米によってアトピーが治ったこと、そして食べ物を見直すだけでなく、食べ物の“基”から見直すことが大切であること。冬期湛水不耕起移植栽培の普及を手がけた岩澤信夫氏が開校した自然耕塾。その岩澤氏のもと農法を学んだ塾生たちが各地で自然耕塾を開いています。その1人である園原さんも、ここ長野県高山村を拠点にして自然耕塾の塾長としてのべ160人の塾生を育てています。その塾生の中で、実際に農家として米作りをしている人もいます。


塾生の松田かよさんと仲良く田植えをしています♪


「食べ物の“基”から見直すことが必要」という園原さんの考え方は、ほとんどの人が見落としがちなことではないでしょうか。今の日本人が食べる物を選ぶ基準は「新鮮さ」が最も多いそうですが、それはあくまで「見た目」で判断しているということだと思います。どうやって作られているのか、どのような状況で作られているのかを考えて実際に食べ物を選んでいる人はごく僅かでしょう。野菜、果物、畜産、水産などの“基”に観点を置かず、食品を選ぶ方が多くなったからだと思います。

 しかし、その中でも園原さんの想いを受け継いで、実際に、自然豊かな田んぼを作って、お米を作っている人がいることは事実です。そして食べ物の“基”を大切にする生き方をする人たちが増え、その人たちの想いをまた誰かに受け継ぐという「善のサイクル」が生まれると、無限の可能性が広がっていくことも夢ではありません。
今回、園原さんに学んだ塾生の一人である松田かよさんが開催した、市民の方とのお田植え会にも参加させていただきました。


松田さんが開催するお田植え会に参加した方々。ご夫婦で来られた方や、お子様連れの方が多く、皆和気藹々と田植えを楽しんでいました。


そこでは農家夫婦で来られている方、背中に赤ん坊を背負いながら田植えをするお母さん、田んぼの生き物たちに興味津々な子どもたちなど、さまざまな方が参加していました。このような場が「善のサイクル」を生み出す、とっておきの場・コミュニティなのではないかと思いました。



 園原さんは、生態系の底辺を支える微生物であるEMを田んぼ作りの資材の1つとして使っています。EMによって生き物がたくさんいる自然豊かな田んぼを、そして安心安全なおいしい米を作ることが出来ているのです。この園原さんの考えを途絶えることなく引き継ぐ「善のサイクル」。私は、この善のサイクルをサポートし続けたいと思いました。そのサポートをどうやってしていくのか、具体的なことを考えるのが、新入社員である私の一番の課題だと感じました。
そして一番お伝えしたいこと、それは食べ物の表面上の安全だけではなく、内面の安全も知ってほしいということ。スーパーに行って、まず食べ物の「値段」「ビジュアル」だけでなく、「産地」「農法」も気にして見てみてはいかがでしょうか。


農園の紹介